コーヤン流とは
コーヤン流とは、中田功八段の棋風・思想がベースになっているノーマル三間飛車全般ことを指します。しかし、最も有名な対居飛車穴熊をコーヤン流と考える方が多いと思います。
コーヤン流の基本方針
方針①４枚穴熊には中央制圧
第１図のように、４枚穴熊には中央からの捌きを狙います。第１図以下、☗２四歩☖同歩☗５五歩☖５六歩☗５四歩☖５二飛（＝第２図）の要領で、中央での戦いにシフトしていきます。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v飛 ・ ・|二
| ・v歩v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v銀 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝40 △５五歩 まで
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v飛 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂v金 ・ ・v角 ・v歩|三
|v歩 ・v歩v銀 歩v歩v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・v歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝46 △５二飛 まで
方針② ３枚穴熊には端攻め
４枚穴熊は堅いのですが、中央から動かれるリスクがあったため、３枚穴熊に留めておく指し方もあります。代表例は第３図で、３枚穴熊には☖８五桂からの端攻めを狙います。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩v桂 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝36 △８五桂 まで
＜第３図以下の指し手＞
☗３七桂 ☖４二飛
☗２四歩 ☖同 歩
☗５五歩 ☖同 角
☗２四飛 ☖９六歩
（＝第４図）
後手の持駒：歩二
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 飛 ・|四
| ・v桂 ・ ・v角v歩 ・ ・ ・|五
|v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ ・ ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝44 △９六歩 まで
先手が２筋の突破を狙って歩を渡すと、第４図のような端攻めが生じる仕組みになっています。第４図はコーヤン先生の実戦で現れた局面ですが、その後第５図で先手を投了へ追いやっています。
後手の持駒：桂二
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・ 龍v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩 歩v銀 桂 ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・v飛 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
|v香 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
|v角 銀 金 ・ ・ 銀 ・ ・ ・|八
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：角 銀 桂 歩五
手数＝74 △９八角 まで
コーヤン流対策 最新の布陣
居飛車が無対策のまま穴熊に組むとコーヤン流の中央制圧／端攻めが炸裂してしまいます。現在穴熊側が取っている対策を紹介します。
対策① 飛車先逆襲型
第６図はコーヤン先生と渡辺竜王の対局から。☖６四歩と飛車先の逆襲をするのが斬新な構想です。第６図以下、☗６四同歩☖同銀と進むと次の☖６五桂が生じる仕組みです。
なお、第６図は居飛車が後手番ということもあり、☖４一金型で仕掛けていることにも注目です。端攻めを狙うコーヤン流に対して、ひたすら固めるのは必ずしも特にならないと見ているものと思います。（第５図のような攻めに対して逃げ道が確保されます。）
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v金 ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・v角v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂 ・v銀v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|五
| ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 角 ・ 銀 金 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝42 △６四歩 まで
飛車先逆襲に対してコーヤン先生も対抗策を練っています。キーポイントはやはり右桂の活用で、第６図の☗４五歩を省略して☗２五桂と跳ねる修正案をvs.千葉女流王将との対局で見せています。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金 ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・v角v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂v歩v銀v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 銀 ・ ・ 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝37 ▲２五桂 まで
後手番
第７図以下、実戦は☖４一金に☗１三桂成から先手が快勝しています。ただし、第７図では☖４四歩（銀）などとする手などもあり、難しい戦いが続きます。
対策② 飛車先突破型
もう一つの対策は第８図の形です。第８図以下、☖２四同歩☗同角☖２二飛☗２五歩☖４四角☗４五桂☖６二銀（＝第９図）と進みます
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂 ・v銀 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 歩 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝37 ▲２四歩 まで
後手番
後手の持駒：歩
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v銀v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v桂 ・ ・ ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩v角v歩 角 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝44 △６二銀 まで
第９図も難解で、☗５七角には☖４二飛から捌きを狙う展開になります。
対策③ ５筋突き捨て型
コーヤン先生が対策①、②に苦慮している中、２０１８年に先手の新たな作戦が注目を浴びます。第１０図がその将棋で、ここで☖５五歩と突いたのが新しい構想でした。指したのは藤井四段（当時）です。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金 ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・v銀 ・v角v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 歩v歩 ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 ・ 銀 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝36 △５五歩 まで
☗５五歩の狙いは次のとおりで、先手はこの歩を簡単に取ることができません。
- ☗５五同角なら☖８六歩からの飛車先突破
- ☗５五同歩なら☖８六歩☗同歩☖７五歩☗同歩☖同角（＝第１１図）
特に②の手順がポイントで、第１１図では次の☖７六歩や☖５六歩が生じています。これを受けて☗７六歩としたいのですが、それでも☖５六歩（＝第１２図）が成立します。
後手の持駒：歩
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金 ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・v角 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|五
| ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 角 ・ 銀 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩三
手数＝42 △７五同角 まで
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金 ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・v銀 ・ ・v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・v角 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|五
| ・ 歩 歩 ・v歩 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 角 ・ 銀 ・ 桂 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩二
手数＝44 △５六歩 まで
第１２図で☗７五歩と角を取ると、☖５七歩成☗同金☖７六銀と進みます。角が逃げると☖６五桂と跳ねられるので、これは先手支えきれないでしょう。
５筋突き捨て型への最新対策
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v銀v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・ ・ ・v角v歩v歩|三
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝40 △６二銀 まで
第１３図の☖６二銀は難しい手ですが、☗５四歩の取り込みをあらかじめ緩和しています。また、☖４五歩☗３七桂の交換を入れる前に☖８四歩と☗７八金が入っているのも細かいところで、コーヤン先生は☖８四歩の方が価値が高いと考えているはずです。
コーヤン流対策のまとめ
コーヤン流の対策は、①飛車先逆襲型、②飛車先突破型、③５筋突き捨て型の３種を紹介しました。どの型も非常に有力な作戦ですが、現在の一番人気は③５筋突き捨て型です。
なお、３種類とも☖４五歩が起点になって仕掛けが始まります。コーヤン先生を始めとするスペシャリストは、このタイミングを調整することで独自の対抗策を考えているものと思います。
有名局について
局面ペディアや棋譜BDの局面検索にコーヤン流が出てこないので、有名局の分析はお休みです。個別の有名局を挙げておきます。（棋譜DB2へのリンクです。）
①飛車先逆襲型
2005-07-12 順位戦中田功 vs. 渡辺明 順位戦
2006-07-10 NHK杯中田功 vs. 千葉涼子 ＮＨＫ杯
2017-09-07 順位戦渡辺大夢 五段 vs. 中田功 七段 第76期順位戦Ｃ級２組４回戦
②飛車先突破型
2015-03-06 順位戦中田功 vs. 及川拓馬 第73期順位戦Ｃ級２組10回戦
2015-11-19 順位戦中田功 vs. 永瀬拓矢 第74期順位戦Ｃ級２組７回戦
2017-01-18 棋王戦中田 功七段 vs. 牧野光則五段 第43期棋王戦予選
2017-11-09 順位戦高野智史 四段 vs. 中田 功 七段 第76期順位戦Ｃ級２組６回戦
③５筋突き捨て型
2018-01-11 竜王戦中田 功 七段 vs. 藤井聡太 四段 第31期竜王戦５組ランキング戦
2019-02-01 順位戦及川拓馬 六段 vs. 中田 功 八段 第77期順位戦Ｃ級２組10回戦
2019-04-17 棋王戦澤田真吾 六段 vs. 中田 功 八段 第45期棋王戦予選
みんなの形勢判断
Twitterの皆さんに最も有力視されている☗５五歩の変化について、どちらを持ちたいかアンケートを取ってみました。
ソフトでのシュミレーション
第１４図の☗５五歩の局面をソフトでシュミレーションしてみました。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂 ・v銀 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝37 ▲５五歩 まで
後手番
対局条件
- 使用ソフト：水匠２
- 持ち時間：秒読み５秒
- 対局数：次の４つの局面を各１００局
- ☖５五同歩
- ☖５五同角
- ☖６二銀
- ④☖８五桂
対局結果
対局の結果を表１にまとめました。勝数、負数、勝率は全て先手から見ての数字です。
①☖５五同歩の変化
第１４図から①☖５五歩は☗２四歩☖同歩☗３五歩☖同歩☗同角（＝第１５図）が主要な変化でした。第１２図で述べたように、第１６図で☖３四歩は☗５四歩が厳しく先手良しです。
後手の持駒：歩三
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v桂 ・v銀 ・v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・|四
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩 角 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝43 ▲３五同角 まで
後手番
②☖５五同角の変化
☖５五同角は、☗２四歩に☖８五桂（＝第１６図）と跳ねて勝負する狙いです。（☖４六歩☗同歩☖同角も指していましたが、後手は２６戦全敗だったので無かったことにします…。）
後手の持駒：歩
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 歩 ・|四
|v歩v桂 ・ ・v角v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝40 △８五桂 まで
第１６図以下、☗２三歩成に☖９七桂成と殺到しますが、先手の受けが正確で攻め切るには至りませんでした。
第１６図からの一例は、☗２三歩成☖９七桂成☗同香☖９六歩☗同香☖同香☗９七歩☖同香成☗同桂☖９六歩☗９八歩☖９七歩成☗同歩☖９一香（＝第１７図）です。
穴熊の急所に駒を配置していますが、第１８図から☗５九香☖４四角☗５五歩（第１８図）が攻防の手順で、先手は急所の角を封じ込めることに成功します。
後手の持駒：桂 歩二
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ とv歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：桂 香 歩
手数＝54 △９一香 まで
後手の持駒：桂 歩二
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ とv歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩v角v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 ・ ・ 金 香 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：桂
手数＝57 ▲５五歩 まで
後手番
③☖６二銀の変化
☖６二銀の変化は、コーヤン先生と同じ構想の戦い方になります。☖６二銀以下、☗５四歩☖８五桂（＝第１９図）が最も多い変化でした。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v銀v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・ ・ ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩v桂 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：歩
手数＝40 △８五桂 まで
第１９図からはねじり合いが予想される雰囲気ですが、ソフト同士では☖８四歩や☖６三金で力を溜めています。アマチュア目線では形勢はまだ難しいように見えますが、ソフトの勝率は９２％と非常に高いです。
④☖８五桂の変化
☖８五桂には☗２四歩（＝第２０図）と進んでいます。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 歩 ・|四
|v歩v桂 ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝39 ▲２四歩 まで
後手番
第２０図で後手の指し手は次の２つです。
- ☖２四同歩
- ☖９六歩
①☖２四同歩は自然な対応ですが、☗８六歩（＝第２１図）と催促されて後手全敗でした。
後手の持駒：歩
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四
|v歩v桂 ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
| ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝41 ▲８六歩 まで
後手番
第２１図は①☗５五歩で瞬間的に角のラインが遮断されていること、②☖５五角には☗２四飛が生じていることが大きく働いています。このため、２０図では☖９六歩（＝第２２図）が多く採用されています。
後手の持駒：なし
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 歩 ・|四
| ・v桂 ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
|v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：なし
手数＝40 △９六歩 まで
第２２図以下、最も選ばれている変化は①☗２三歩成でした。①☗９六同歩も指されており高勝率を挙げていますが、☖２四歩☗８六歩に☖９七歩が用意されており、後手の言い分が通った形です。
①☗２三歩成の変化は、☖９七歩成☗同桂☖同桂成☗同香☖同香不成☗９八歩（＝第２４図）と進みますが、この変化は第１７図（＝②☖５五角の変化）と比較して選択すると良いでしょう。
後手の持駒：桂 香 歩
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
| ・ ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・v角 とv歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
|v香 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| 歩 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：桂 歩
手数＝47 ▲９八歩 まで
後手番
後手の持駒：桂 歩二
９ ８ ７ ６ ５ ４ ３ ２ １
+---------------------------+
|v香 ・v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ ・ とv歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v角v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒：桂 香 歩
手数＝54 △９一香 まで
シュミレーション結果まとめ
５筋突き捨て対策のシュミレーションは居飛車が非常に勝ちやすい結果でした。これは、ソフトの場合はミスが極端に少ないので、実戦的に迫っていくコーヤン流の長所が生きづらかったものと思います。
コーヤン流の結論
- コーヤン流は居飛車穴熊に押され気味で、一部の職人気質の人にしか指されていません。
- 有力な対策として①飛車先逆襲、②飛車先突破、③５筋突き捨て作戦を紹介しました。５筋突き捨てが最新の対策で、ソフトによるシュミレーションは居飛車の勝率が９割を超えています。
- ただし、人間同士の戦いでは勝率の差は詰まると思います。特にアマチュアの場合、コーヤン流はひたすら仕掛けを狙うのに対して、居飛車は丁寧な受けを考える必要があるためです。
- コーヤン流の対策は３種類とも☖４五歩が起点になっています。コーヤン流のスペシャリストたちはこのタイミングを調整して独自の対策をしているものと思います。
参考書籍
コーヤン流の内容が書かれている本はあまり多くありません。出版が古いため、この記事の対策はあまり記述されていませんが、コーヤン流三間飛車の極意が勉強になると思います。